バックハンドでドライブやレシーブをする時のコツ

2020年2月12日

1.バックハンド3カ条を守るべし!

 今日は、バックハンドでドライブを打ったり、レシーブをする時のコツを紹介します。どちらかというとダブルス向けのお話しです。このブログを読めば、バックハンドがめちゃくちゃ上手くなって、ドライブやレシーブがより簡単になるでしょう。持ち方は、バックハンド1に持ち替えていることを前提に進めていきます。バックハンド2は、クロス方向へ鋭く切り返すのに適していますしフォアハンドからの持ち替えも楽ですが、親指に対してちょっと面がズレているんですよね。なので、今回はシャトルに〝厚く”当てられるバックハンド1で話を進めます。

ガチガチのバックハンド。手関節を1㎜たりとも動かさないつもりで、しっかりとリストスタンドをしておきます。
初心者の方は、この面に親指を置いてしっかりと
握ってから、練習を始めましょう。
ここに親指を置いて握る選手もいます。当ブログでは、
「バックハンド2」と呼んでいます。

 プロの試合を見ていると、手首だけで簡単に返しているように見えますよね?しかも、めちゃくちゃ速いスマッシュをいとも簡単に返している感じです。何故、出来るのでしょうか?それは、以下の3点を忠実に実行しているからです。

1.相手のラケットの面をよく見る

2.反動動作は体に任せる

3.親指でシャトルを激しく回転させる

 まず、相手のラケットの面をよく見る重要性は、『「バドミントン」 現代スポーツコーチ実践講座12』(著:阿部 一佳)で解説されています。人間は、相手のラケットの面に対してシャトルがどのような角度と速さで当たった結果、どこに飛んでくると予想してそこへラケットを出しているそうです。その証拠として、2つの根拠を提示してくれています。

 そもそもバドミントンのスマッシュの速さは、人間の反射神経の限界を超えているといいます。プロの選手が取れるのは、打たれてから反応しているのではなくて、打つ瞬間の面とシャトルの角度と速さを捉えて「ここに来る!」と予測出来ているからです。打たれてから反応しているのではありません。

 二つ目の根拠として、右利きの選手が左手でスマッシュを掴んでしまった場面を取り上げています。皆さんも、一度は見たことがある光景でしょう。あれって、不思議だとは思いませんか?左手で掴めるということは、脳は正確にそのスマッシュの速さと軌道を把握して対応しているということです。だったら、右手で持っているラケットで返せそうですが、思わず反対側の手で捕っちゃったのですね。つまり、脳は、右手のラケットで返すという指示を送れず、左手に掴むという指令を送ってしまったということです。反射神経の限界を超えているスマッシュやプッシュの軌道は、予測出来ているのです。

 実際に、私も相手の面をよく見るようにしてからはレシーブの確率が上がりました。特にプッシュレシーブは有効だと思います。レシーブの精度も相手の面を見ながら行います。逆に、シャトルは見ません。よく最後までよくシャトルを見てと指導するのを聞きますが、そんなことをしてたら差し込まれて益々返せなくなります。私は、お勧めしません。相手の面を見ながらレシーブを練習することで予測の精度が上がり、レシーブ力を向上させることが出来ます。とにかく、数をこなすことです。

2.反動動作は、体に任せよう!

 このブログで幾度か出てくるラギングバック(反動動作)の重要性は、レシーブ時にも有効です。高速ドライブ合戦をしている時やスマッシュ又はプッシュを返球している時は、自分でラケットを引いている暇なんてありません。レシーブの時って、体が勝手にラケットをクイっと引いてくれませんか?もし、まだ実感出来ていない方がおられましたら、是非明日からレシーブやバックハンドでドライブを打つ時は、意識してラケットを引く動作は体に任せてみてください。たまにレシーブの時に、ラケットをプルプルとすごい速さで小刻みに振っている選手もいます。自分で意識しているというより、半分は体が勝手に(ラギングバックが起きやすいように)しているのでしょう。レベルが上がるほどスピードも増すので、反動動作を体に任せる重要性はさらに上がります。シャトルを「押す」動作は、体がラケットを引いて当ててくれているので十分に行えています。余計なことはせず、シンプルに当てて振り抜くことだけを意識しましょう。

3.押すのではなく、シャトルに回転を加える!

 よくある勘違いは、2つあります。

1.手首を使っている                                   

2.親指で押している

 これらは、目の錯覚から生じる誤解です。プロのスイングはめちゃくちゃ速いので、そう見えても仕方ありません。まずは、下の動画を見てみましょう。

ラケットの面が、時計でいうと9時から3時(又は逆方向)にワイパーのように動くことに注目。
決して押すように振っていないことが、分かると思います。

 日本の最強ミックスダブルスペアである渡辺/東野選手です。両者とも、手と肘の高さがあまり変わらず、回外運動だけで対応しているのが分かります。目線も、前を向いたままです。いちいちシャトルを見ていません。また、ラケットの先端が時計でいうなら9時から3時に(又は逆方向)に凄い速さで振られています。でも、シャトルはストレートに返ったりクロス方向に振られたりしていますね。どちらかというと、渡辺選手のレシーブが参考になるでしょう。どちらの選手も、速い球を打つ時はちゃんとラケットを振り切っています。

 回外運動を使って打ち返すと、ジャイロ効果を発生させます。これは、銃の弾丸が真っ直ぐ遠くまで飛ぶ原理と一緒です。銃の弾は、ライフリング(銃身内に螺旋状の溝を掘る加工)された銃身を通って飛び出すことにより、回転しながら飛びます。火薬の力で押されただけでは、あれほど飛ぶことは出来ません。

 同様に、シャトルも速く回転すればするほど、真っ直ぐ減速せずに飛ぶことが出来ます。だから、バックハンドでラケットを持ち、シャトルを押すのではなく、親指でシャトルに回転を加えるのです。左利きならば、3時から9時の方向へ思いっきり振り切ります。この時に、手首が1㎜でもフニャフニャしていれば、その分だけ力が逃げてしまいます。なので、しっかりとリストスタンドをして、手首をガチガチに固定しながら振り切りましょう。これが、バックハンドのコツです。

 相手の速さを利用すれば、反動動作なしでも素早い返球が可能になります。パートナーに、ラケットの面のみに頑張ってドライブを打ってもらってください。貴方は、反動動作を起きないようにしながら、親指でシャトルを擦るようにして回転させることのみに集中してください。そうすると、少ない力で速いドライブを打ち返せるのを実感できる筈です。バックハンドで速いドライブやプッシュレシーブを打つコツは、回外運動を使ってシャトルを回転させることだと理解できるでしょう。

 では、これまで紹介した3つのコツを意識しながら、下の動画をご覧ください。とても参考になると思います。

4.レシーブをする時は、低く構えよう!

 動画を見ていると、サイドバイサイドになった時は、二人ともすごく低い姿勢で構えていることが分かります。利点は、2つあります。

1.シャトルを捉えやすくなる。

2.手より上で当てて攻撃的な返球がし易くなる。

 まず、低く構えると、腰の高さに来た球を手より上で当てることが可能です。そうすると、ドライブで相手の前衛を押し返すことも出来るし、奥まで高く上げることも出来ます。けれども、棒立ちで腰が高ければ、下から擦り上げるしか出来なくなります。同じ高さの球に対して、低く構えて対処することにより選択肢が増すのです。手より1㎝でも上で当てれば、攻撃的なドラブを打つことが出来ます。手より下で当てると、シャトルが下から擦り上げられてしまうのでどうしても上がってしまいます。奥までしっかりと返す時には、こちらの方が有効です。アップの時に試してみてください。

 手より上で当てるのか下で当てるのかで、随分と返球の質が変わります。これは、特にプッシュレシーブの時に有効です。プッシュを打たれるということは、そうとうピンチです。そこから挽回するには、こちらも速い球で押し返すのが一番です。奥まで返そうとしたって、追い詰められてますから無理です。上に上げるのではなく、親指でしっかりとシャトルを回転させて、減速しない高速ドライブで押し返すのです。そうすると、相手の前衛の返球コースを限定させることが出来ます。

5.目指せ!バックとフォアの両刀使い!

 ダブルスでレシーブをする時は、バックハンドだけだと限界があります。やっぱりフォアハンドの方が強く振れますから、何処かでバックハンドからフォアハンドに持ち替えてカウンターや深いレシーブを繰り出したいところです。ただ、基本はやはり、しっかりと親指でシャトルを回転させることです。そうすれば、減速しないレシーブで相手を振り回すことが出来るようになり、フォアハンドへ切り替えるチャンスがやってきます。下の動画が、参考になるでしょう。

遠藤/渡辺ペアがレシーブをする時は、速い球に対しては出来るだけ回外運動のみで対応。
遠藤選手の的確なフォアとバックの切り替えにも注目!

 遠藤選手が他のどの選手よりもずば抜けて上手いのは、バックとフォアの予測の精度です。フォアハンドでのレシーブは、強力だけども守備範囲が狭い。時々、バックハンドなら取れたのに、ファオハンドで待ったせいで捕れなかったという場面を見かけます。

 しかし、バックとフォアのどちらでレシーブするか?という場面で、遠藤選手が選択を誤ったのは見たことがありません。的確にフォアハンドに持ち替えて対応します。「こう返したら、次はフォア側にスマッシュが来る!」という読みが素晴らしい。その精度は、正に世界最高峰と言っても過言ではないでしょう。


ここでは、二人ともバックハンド
こちらは、二人ともフォアハンド。相手が打ってきたコースによって、
すぐに持ち方を変更して対応している。
遠藤選手の右手に注目。バックハンドでフォア側の球を打ち返しています。
持ち換えが間に合わなかった時は、このようにとりあえず返しておいて、次の球を確実に処理します。
バックハンドで構えているところへ利き手側にスマッシュや
プッシュが来た時は、この写真のように肘を上げてシャトルを擦り上げる!

 如何だったでしょうか?親指でシャトルを回転させることは、ぜひ取り入れて欲しいですね。同じ筋力で打つにしても、球のスピードは段違いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。それでは、また次回お会いしましょう!