スライスを覚えると、バドが楽しくなる!

2019年12月19日

1.スライスで相手を崩す楽しさを知ります。

 カットとドロップの違いは、前回の記事で分かったと思います。今回は、ドロップと混同されやすいスライスを見て行きましょう。このスライスを覚えると、

1.相手を崩すことが出来る

2.戦術に幅が広がる

3.ノータッチで決まると、めちゃ楽しい

 まずは、実際にスライスを見てみましょう。昔は、「リバースカットを応用してストレートに打つ。」とか言っていたのですが、海外のYouTubeなどを見ると「スライス」と命名してますのでそちらに合わせました。下の動画をご覧ください。3分12秒からレジェンド林丹選手が、2回打ってくれます。

 下の動画では、1分58秒のところでリーチョンウェイ選手が見事なスライスを打ってくれます。そして、何事もなかったかのようにリンダン選手が取ります!!それも凄い!どうなってんだこの二人!!

 いや~、普通はこれだけキレのあるスライスを打たれたら腰砕けになってしまい、取れたとしてもネット前に返すのがやっとの筈なのですが…。それを狙われてプッシュでとどめを刺されるパターンです。スライスって、上手い人に打たれると一瞬シャトルが消えるんですよね。特にガットが真っ白だとさらに効果抜群です。いきなりシャトルはネット前付近で現れて、気がついたらサービスラインよりも手前(ネット側)へ落ちるところです。スライスへの対応をしっかり練習していないと、試合では取りに行けません。そんなスライスを打つコツは、2つです。

1.クリアーやスマッシュと同じテンポ・移動の仕方・打ち方で打つ

2.忘れた頃に打つ

 リー・チョンウエィ選手は、この二つがプロ選手の中でも飛びぬけて上手いです。「同じ打ち方をする」と言うと、打ち方だけを意識する方がおられるかもしれません。ここで言う「打ち方」とは、ホームポジションからシャトルへの移動の仕方(フットワーク)、フットワークのスピード・テンポ、そして、シャトルに当たるまでのフォームを含めます。打ち方も、ジャンプした時の姿勢がラケットの先端から足の爪先までを同じにします。基本は、どのショットも同じフォームから打つ瞬間にラケットの面を変化させて打つことです。でも、この基本が難しい。しかしながら、リー・チョンウエィ選手は、フォア奥へジャンプしながら足を入れ替えないで打つスマッシュやクロスカットの時と、移動の仕方、フットワークのスピード、飛んで構えて打つまでのスイングスピード、飛んだときのラケットの先から足の爪先までを同じにします。

 そしてもう一つ重要なのが、「相手が忘れた頃に打つ」ことです。リー・チョンウエィ選手は、これも上手い。当然ながら上級者はみんな打てますが、リー・チョンウエィ選手は、特にこの2点を実践しながら打つのが上手です。これまでの解説を思い返しながら、下の動画をご覧ください。

2.スライスは、ワイパーショットを応用して打つ!

 いや~、鮮やかでありながらいやらしくもあるショットですね。皆さんそんなスライスを、使ってみたいでしょう?では、スライスの打ち方を見ていきましょう。スライスは、ワイパーショットの打ち方を応用します。動画をよ~く見て頂くと分かると思うのですが、スライスは、シャトルに当ててからラケットヘッドが前に出てきません。まずは、ワイパーショットの打ち方を説明しましょう。下記の動画をご覧ください。ただし、説明は英語ですが…。

これが、ワイパーショット。

  ワイパーショットは、時計でいえば右利きの場合、12時から9時に向けてラケットヘッドを振るように打ちます。左利きだったら、12時から3時ですね。コツは、手首をひたすら反りまくりながら回内運動のみを使って打つことです。ネットに触るとフォルトになるので、このような打ち方になります。スライスは、これを応用します。下の連続写真をご覧ください。

まずは、当てる。
スライスの場合は、手首を反りまくりながら12時か8時もしくは7時の位置にラケットを振る。
回内運動を使いきったぐらいで肘をカックンと曲げてみましょう。
ワイパーショットをスマッシュの打点の高さでやると、スライスになる感じですね。

 この写真ではラケットヘッドがお腹の横ぐらいにありますがが、実際には右利きの場合、ラケットヘッドが左太腿の外側へ来るように振ると成功の確率が上がります。ちょっと分かり辛いかと思うので、横からの写真もよろしければご覧ください。

まずはシャトルに当てる。
何か壁があると思って、
そこからラケットが出ないように振る。
手首は、これでもかっていうぐら反ったまま。このまま太腿の外側へラケットヘッドを振ると良い。

 スライスを練習する際の注意点は、以下の2つです。

1.全力で振ること。

2.移動の仕方をスマッシュやクリアーと同じにする。

 スライスを打つ時は、出来る限り全力で振りましょう。スライスは、シャトルを押し出す時間がクリアーやカットよりも短いので、思っているよりも減速します。ギリギリを狙ってゆっくり振ったり、試合中にしんどくなって一発で決めようとすると、必ずと言って良いほどミスします。8割ぐらいの力で流しめのスマッシュを打ってからスライスを打つようにすると、移動の仕方も含めてより実践的なスライスを修得出来ます。

 特に移動の仕方は、カットの練習時も含めて注意が必要です。皆さん、カットやドロップを打った途端に、上手い相手がネット前に飛んできてプッシュを決められたことはありませんか?上級者と経験の浅い選手が試合をすると、よく起きます。この時、上級者は何でカットが来ると分かるのでしょうか?それは、相手の動き方です。初心者は特にカットやドロップの時だけ移動がゆっくりになることが多いので、フットワークのスピードが遅いと「あぁ、カットだな。」と待ち構えるわけです。打ってから反応しているのではありません。上級者でたまにわざとゆっくり動いてカットに見せかける人がいますが、それは有り得ないとうことで残るは、ストレートかクロスなのかの問題だけです。なので、カットやスライスを打つ時は、リー・チョンウエィ選手のようにフットワークのスピードをスマッシュやクリアーと同じにしましょう。

3.ドロップは趣味で、スライスは実戦で

 ドロップとスライスの軌道は、ほぼ一緒です。ただし、打ち方はご覧の通り、シャトルに当ててからが全く違います。ドロップは、どちらかというと「趣味」の範囲内で覚えると良いと思います。実践ではスライスの方が、より効きます。同じ貴重な時間を費やすのならば、スライスの方に時間を割くべきでしょう。そもそも、ドロップとスライスを打ち分けて相手が右利きならバック前へ、左利きならフォア前へ打ち分ける必要がないです。どうせ同じところへ打つのなら、より効果の高いスライスを修得するべきです。スライスばかり打つと読まれるのでストレートのカットとスライスを打ち分けるのは、練習する意味があると思いますが…。ドロップは、ミスると「ぽよよ~ん」と浮いた球になりがちです。上級者となるとえげつない速さで動く人がいますからね、下手にドロップを打つと叩き潰されるだけです。

 如何だったでしょうか?スライスを覚えると、バドミントンがさらに楽しくなります。特にノータッチで決まると、「にた~」と頬が緩むような類いの快感を感じることが出来ます。私自身も、初めてノータッチで決めた時は、スマッシュを決めるような爽快感とは違う気持ち良さを感じました。これは、楽しいですね。あんまり多用すると周りからは、相手を痛ぶるのが楽しい性格が悪い奴と思われます。修得していない方は、ぜひ試してみてください。打ち方自体はけっこう簡単なので、お勧めです。それでは、また次の記事でお会いしましょう!